ニヤニヤ…

ニヤニヤ…

ダメだ、ニヤニヤが止まらない…






リールに付いたスプールと、互換性スプールのライン交換をしながら、ニヤニヤが止まらない
















時は数年前

私はある事で、人生に置ける大きな間違いを犯しました

とある港町にあった住まいを失い、貯蓄を使い果たし湘南へと住まいを移します

生来の風来坊故、仕方のない事だったのかもしれない

家、と呼ぶにはあまりに小さくボロボロの住処を得るも、もはや何処に心を置けば生きて行けるのか?それすらも分からず、ただただ、ただただ毎日、鎌倉や江ノ島、湘南の海辺を歩き続ける毎日

ひたすら歩いては海を眺め、この海の向こうには、どんな世界があるのだろう?
そんな事ばかり考える毎日をおくっていました

毎日毎日海を眺めていると、海には本当に沢山の、色々な人がいる事に気付きます

波を待ち、海にたゆたうサーファー

浜辺で犬の散歩を楽しむ人

私と同じ様に、何かを想って海を眺める人

海の様子を真剣に見つめる漁師

思い詰めた様子で海を眺め合い、何か話し合うと、硬く手を繋ぎ海へ入って行く男女



本当に色々な人が海にはいます



そこで出会ったのが



とある「釣り人」だったのです




私が今、釣りをしているのは、その方の影響が全てと言っても過言ではありません














毎日毎日海を眺める私



たまさか、釣りをしている釣り人がある



時折何となく顔を合わせる私達



何度か目に、顔を合わせた日の事










「こんにちは(^ ^)」

『?…』

「こーーんにちは!」

『Σ( ̄□ ̄;)あ!?え!?私!?Σ( ̄□ ̄;)』

「そうだよ〜〜〜」

『な、なな、な、何ですか!?あ、いやすみません!』

「何で謝るのよ〜(笑」

『あ!すみません!』

「wwwwww」

『( ゚д゚)』

「いや、俺が釣りしに来るといつもいるからさ、なんで海眺めてんのかなぁ?って、しけた顔して(笑」





その釣り人は、どこまでも優しそうで、それで有りながら眼の奥には深い深い、とても底が知れそうにもない深淵を宿している、まるで海の様な眼をした釣り人





「いや、ごめんね(^^;;何となく気になったから(笑」

『いえ!いえいえ!ありがとうございます!』

「いや、答えになってない(笑」

『( ゚д゚)』

「若いのに、そんなに海眺めてたら暇でしょーがないんじゃない?(笑」

『いや、まぁ、はい…しかし、やれる事もやる事もないので…』

「wwwwwやれる事無い訳ないでしょwwwやる事は、海をただ眺めてる事じゃないでしょwww」

『色々あって…どーにも…』

「wwwww色々wwwあるよね(笑」

『ありますよね…(^^;;』




後に知る有名釣り具メーカー、アブガルシアの帽子を被ったその釣り人は、他愛も無い話をして帰って行った




















この出会いが、あの頃の私を大きく変え、そして今回の物語を生み出す事になる



















釣り…か…













私は、七里ヶ浜でたまに開催されるフリーマーケットで、500円の黄色い竿を手に入れ「オマケにあげる!」と、20年以上前のリールを貰い、ついに、釣りの世界へと足を踏み入れます











ネットで「釣り 初心者」で検索

ほうほう…取り敢えずは「ちょい投げ」ってのが良いんだな…

虫餌は………気持ち悪!!!!無理!!!

オキアミ……お、ただのエビじゃん、これだ!








ちょい投げ天秤で初めて釣ったヒイラギ






私にはコレで十分だった

どれ程感動したか

どれだけ興奮したか








それからも、アブガルシアの帽子の釣り人…アブさんと、何度となく釣りの話をした










何も無い、全てを無くしてしまった私


「全てをwwww若いクセにwwww」

『やかましいですよ(笑』

「腹痛いわwwww」

『やる事は出来ました!!!釣りです!!アブさんのおかげで、海はただただ眺めるより楽しい事がある事を知れました!』

「そりゃ素晴らしい!んじゃ次は、海より人生でやる事見付けなさいよwww絶対釣りより楽しいからwww」

『。゚(゚´Д`゚)゚。』

「今は若くて、甘え事言ってても良いよ。でも、人生は本当に早いよ(笑」














何度かの夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬、春…いつもしていた釣りの話が、いつの間にか人生の話になってしまっても、嫌な顔一つせず付き合ってくれる程の仲になれた、そんな、またも来た夏のある日




「菜前ちゃん、どこに向かってんの?(笑」

『私は!この海の先に行きたいんです!!!』

「wwwww」

『この海より先、何があるか知りたいんです!!!』




















「んじゃ、この海の先、行く?」




















『( ゚д゚)???』

















「俺、船舶免許持ってるからさ。行こうぜ。菜前ちゃんの、今、ここで見てる海の先へ!!!」

『Σ( ̄□ ̄;)!?』







こうして私は去年、ついに!ボート釣りデビューを果たさせて頂いたのです!








その素晴らしさたるやまさに筆舌に尽くし難し







あなたは、産まれて初めて自分の足で立ち、この地球を歩いた、あの時の感動を覚えていますか?
それまでのハイハイから視点は大きく変わり、この世界のどこまでも見渡せる気がしたはずです
自分の足で立ち上がったあの日、私は、何を言われてもハイハイばかりのイエスマンの様な人生から決別しました
あなたは、産まれて初めて自転車に乗って走る事が出来る様になったあの日を、覚えていますか?
まるで自分は風になり、この世界のどこまでも駆け抜けて行けるような気がしたはずです
あなたは、産まれて初めて車を運転した日を覚えていますか?雨だろうが風だろうが、どこまでだって本当に行けてしまうあの感動は、そうそう体験出来る事ではありません
私は仮免で挫折し免許は持っていませんが、そーゆー話をしているのではないのです!!!



人間には「それまで知らなかった世界」に足を踏み入れた時、本当に素晴らしい感動を得る事が出来ると、そう言いたいのです



それでも、私はその日まで、ただただ陸地だけで生きる重力の奴隷でした


しかし、あの日、私は空を飛んだのです!!!


あの、産まれて初めて飛行機に乗った日の事を忘れる事は決してないでしょう


はるか眼下に広がる日本


いつも見上げてばかりいた富士山までもが、いまは足元にある


あの感動は、本当に本当に最高の体験でした


となりのオヤジが全く興味ない感じで週刊誌を読んでいたのも忘れられません
富士山より高い場所にいるのに。絶対に普段では目にする事のできない景色が広がっているのに、週刊誌などを読んでいるオヤジに殺意すら湧きました
飛行機に乗ったら、外を眺める事を法律で義務化すべきだとさえ思った程です



そして飛行機は、夢の沖縄へと向かいます



小さな島国日本など、とうに見えなくなり、眼下には素晴らしき蒼き海が広がります!!!




そう、そうだ…



これだ…





なんかこう、話変わってる感じがしてどうにも気になっていたのですが、話それてました…本当に申し訳ありません


飛行機の話など、飛行機番組でしてりゃ良いのです、ここは釣り番組です












我々人間という物質には質量があります
故に、海に出れば泳がなければ沈み、死んでしまう
海の上を走りたければ、船に乗るしかない







人類の叡智「ボート」




産まれて初めてボートに乗り「海を駆ける」あの素晴らしさには、本当に心から涙したモノです







ゆけゆけボートどこまでも



私をあの、がんじがらめの重力の世界から、遠く遠くへ運んでおくれ





心地よい風の音




海を駆ける音





海はどこまでも広がって、波の音は海を越えて空に届く




波の音は空に届き、私の耳に海の歌声を響かせる






「菜前ちゃん、ちーーと飛ばすぜ」




海の歌声の中、アブさんの、優しく、重く響く渋い声が聞こえる




明るく太陽の照らす空に、雨が降っている様だった


それ程に、キラキラ、キラキラと、世界が輝く








「とーーーちゃく!!!」


















私は、この世界より美しい世界を知らない

私はもう、いや、私にはもう、言葉で表現する事が出来なかった





そんな私に、アブさんは言う





最高の笑顔で言うんだ



「あっちが、さっきまで居た下らねーーー世界だよ」












息を飲んだ



海を飲んだ



空を飲んだ




心が波で揺れている






『これが、海』






「そう。これが海だ。どれだけ向こうが小さくて狭くて、下らねーーーか分かったろwwww」















目が、足りない、と思った





この海を全て見ようとすると、目が、足りない















「この海には、ルールは無い。だけど、俺の船だ。だから俺のルールは守ってもらう」















耳が、足りない、と思った



風の歌声を、波の歌声を聴くには、耳が、足りない















「人間として、やってはいけない事だけはするな。それだけ。あとは自由だ」





アブさんの声は、歌声に聴こえる





「菜前ちゃん。この海は本当にどこまでも広いけど、でもね、本当は、向こうもここも、同じ何だよ。人間はいつも忘れる。自由に生きて良いという事を。何度も、何度も、何度も、忘れる」






海の歌声

波の歌声






「でもな、向こうもココも、本当は同じ何だよ。ココに居るから世界が美しいんじゃない。世界は元々、全て美しいんだ。ココも向こうも、同じ空の下。どんな時でも、この空の下に在る事を、ちゃんと覚えておけ」




アブさんの歌声




世界は、美しさで満ちている
























海以外、本当に何も無い世界の中、ボート釣りスタート!!!!!






海以外何も無いのだから、釣果も、もちろん何も無かった







































あれから一年!!!!!




「菜前ちゃん!今年も行こーーぜ!!!!」



『アブさぁーーーーーん!!!。゚(゚´Д`゚)゚。行きます!!!!行きますよーーーー!!!!』






去年の俺とは、ちぃーーーと違うぜ!!!!






前回は船釣りの「ふ」の字も分からなかったので、本当に堤防でやる感じの装備で行ってしまい、結果、惨敗




今回は、釣る!!!!!



私の船釣りは、約束の日の4日前から既に始まりの鐘を鳴らします












〜本番まで、あと4日〜


話は冒頭に戻る


取り敢えず、まずはラインの状態が悪くては大物がかかれば逃す




メインに使用するナイロン4号と、まさかの時の為に3号ナイロンを巻いた予備スプールを用意


もうね、この時から、ワクワクは止まらない
新品ナイロン巻きながら口笛を吹いては息継ぎでむせる幸せな夜



「え?ナイロン?PEじゃなくて?www」ですか?
私、PEとか嫌いなんです。ナイロンで良いーじゃん、安いし、丈夫だし




あとは手持ちのジグやルアーを確認して、足りないであろうと思われる物は何かを頭に叩き込む













〜あと3日〜


巻いたばかりのラインは、なにかとトラブルが多く起こるモノです
なので、取り敢えず普通に投げてトラブルが起こらないか試す為に、湘南は由比ヶ浜でちょい投げ釣りといきましょう

私、かなり暇で忙しい身なのですが、ここがニートの良い所。暇なので時間はいくらでもあるんですよ

普段は朝から暇で、暇を潰す方法を考える為に本当に忙しい日々を送るのですが、船釣りの日程が迫っているとなれば、暇など考えもせずに釣りに行く

こんなに真面目なのに、なぜ未だ私を雇う企業が現れないのか不思議でなりません




ジェット天秤久し振りぃ〜〜〜!!!

テンション上がる(*´∀`)






キスちゃんも本当久し振り(*´∀`)





イケメンフグちゃん(*´∀`)

体表にも毒があるので触りたくもない粋な奴


そこそこ釣れて、目立ったライントラブルも無かったので終了



帰りに釣り具屋で、昨夜考えて足りないと思われるルアーを購入





うふ、うふふふふふふ…

楽しい…もう楽しい…

ここから、購入したジグのメンテナンスをしたいのは山々なのですが、夜更かしは翌日の暇の大敵
夜更かしなどして、明日の暇がキツくなってはニートとして失格です

それに夜更かしはテレビ観てたりなんだりで電気代がバカになりません

親の年金で3食食べているのですから、そこは考慮するのがマトモな大人というモノ












〜あと2日!〜



前日購入したジグや、手持ちルアーの確認とメンテナンスに入ります




重さの表記の無い物には、重さを書き入れます





うふふふ…楽しい…


フックの確認にも手は抜けません







交換交換


フックの交換が終了したら、アシストフック作成に入ります





アシストフックって、バカなの?ってくらい高い。なので






チヌ針で





自作





既製品





自作

うん、これならイケるのでは?


あとは




こいつで




最も安い値段で購入したエギの耐久性が心配だったので、耐久性を上げる


私は、絶対に高価な釣り具は買わない、買わせない、流通させない、の、高価格釣り具格散財防止条約の推奨派なので、釣り具には最低限の金しか使いません



















〜残り、1日〜


全ての道具、準備を確認

最悪、ここで何か足りない物があっても、明日でどうにか出来る


うん、足りない物は、ない



最後の最後




船上で飲む酒、購入!!!


後はもう、最高の世界を待つだけ!!!
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆






















〜本番、前日〜




もう、何もしません




あの海を


あの波を


あの歌を


もう一度







この、重力に支配された世界から羽ばたき、海を越えて空に届く、あの歌を聴きに、行くんだ





晴れ渡る空の下



他に何もない



あの世界へ



目も、耳も、足りないと感じる



あの世界へ

















大海への挑戦〜前編〜





終了




かなり長くなり過ぎたので、前編と後編に分けさせて頂きます



自作アシストフックで釣れたのか!?

耐久性を上げたエギで何が釣れたのか!?

新品のラインにして、まさかのライントラブル!?


幾多の困難をくぐり抜け、明時菜前が到達した「この先の海の世界」とは!?










大海への挑戦〜後編〜




カミングスーーーーーン!!!!!
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

お楽しみに!!!!!!
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)’・*:.。. .。.:*・゜゚・*
































































































































次号、掲載予定「大海への挑戦〜後編〜」は、作者都合の為休載とさせて頂きます