よく行く釣り具屋がある






仕事が19時半までで、釣り具屋の営業は20時半まで

仕事場から釣り具屋まで15分程かかるので、必然、閉店間近に入店する事になる

それが理由で「閉店間近に来る人」と認識され、その内顔も覚えて頂き、顔見知りにならせて頂いている、行きつけの釣り具屋さん



接客業はどこでもそうだと思いますが、基本「閉店間近に来る客」は迷惑です
店員も早く帰りたいし、あげく、物を売る商売であれば「その客が帰るまで、その日の売り上げを確定出来ない」ので、非常に厄介な存在


そこを心得てはいるのですが、仕事が終わってから行く時間の都合上どうしようもない
なので、とかく平身低頭で店員様と相対する事1年以上

どうにかこうにか

「あ、ああ、良いですよ良いですよ。気を使わずに。もう店は閉めちゃうんで!明時さんはゆっくりどうぞ〜〜(^^」

と、言って頂き、閉店後、釣り場の話や個人的な相談までし合う仲になれました








そんな釣り具屋に、その日も来店


「あら!いらっしゃいませ!(笑」

『何で笑うんですか(^^;;』

「いや、明時さん来たから、店閉めます(笑」

『(笑いつも本当すみません(^^;;』


気さくな店長様が店を閉める中、ゆったり貸し切りで、さーーーーて、次は湾奥でシーバスゲームだ
どーーーーーーしてやろうかなぁ…と、店内プラプラ


いくら顔見知りで特別扱いして頂けるとしても、時は年度末
さすがにそうそう長居は出来ん
しかし、本格的にシーバス狙いとなると全く分からん

今日一日、仕事中全力でネットで調べていたものの、実際釣り具屋に、理想のルアー全てが置いてある訳はありません

んーーーーーーーーー…




店長様「では、閉店しまーーす!店内確認お願いします!」

店員様数人『フロア、トイレ、お客様いらっしゃいません!閉店OKでーーーーす!!!』

店長様「了解!お客様ではない明時さんがいますが、シャッター下ろしまーーーーす!!!(笑」

店員様数人『wwwwwwww』




本当申し訳ありません!!!!
Σ( ̄□ ̄;)




本当、とんでもない客で申し訳ありません(笑




いつもはここから、店長様や、別に急いで帰らない店員様も交えて釣り話に花が咲くのですが…さすがに年度末…
店長様、店員様も、今日はさすがに…







店長様「で?で?次は何を釣りに???イカ行きます?シーバス?メバル?アジ行っちゃいます?(笑」

店員様『店長!抜けがけしないで下さいよ!(笑』







心から思います






この!釣りバカ!
ありがとうございます
。・゜・(ノД`)・゜・。




「いやーーーー、狙いはシーバスなのですが、まぁ、いつもの通り、釣れりゃ何でも(^^;;」

『(笑そして、明時さんは結局釣れない、と(笑』

「やかましいわ!Σ( ̄□ ̄;)」

『明時さんは本当に釣れない奴(笑』

「だから!やかましいわ!(笑」

忙しいはずなのに、こんな冗談を言ってくれるのは本当にありがたい
そんな店長様に感謝して、ササッと選んで早く帰らねば!

店内を回遊しながら、うーーーーむ( ー`_ー)…


フと、少し離れた場所にいる店長様を見ると、店長様も何やら、うーーーーむ( ー`_ー)…な顔

(・・?

あ、そうか、やはり早く帰ってほしいわな(^^;;
さっささと選ぼ(^^;;

少し急ぎながら選んでいると、店長様がこちらにスタスタスタスタスタスタ(早歩き)
Σ( ̄□ ̄;)
ごめんなさーーい!もう帰るから!




しかしそこで、思ってもみなかった店長様の言葉…



「………ちょっと相談ですが…」

『ん?はい?(・・?』

「その釣り、いつ行くんですか?明日ですか?」

『そーーーーー……で、す、ね…明日休みなので、まぁ、明日かなぁ、と…』

「明日休み!今夜、今から行きません?」

………

………

………

はぁ!?Σ( ̄□ ̄;)

『え、ええ!?いや、今日はさすがに…しかも今からって(笑店長だって今日は忙しかったでしょ(笑(^^;;』

「いえ、全然全然」

『いや、無理ですよ(^^;;無理無理。竿もタックルも無い仕事帰りですし、今からは物理的に無理(笑』

「…」

『せっかく誘って頂いたのに、申し訳ない(・・;)』







次の店長様の言葉が、私の釣り人魂に火をつける


店員様達は帰宅し、店に居るのは私と店長様のみ
その状況も、次の店長様の言葉に、真実味を持たせる一つの大きな要因となりました









「明時さんだから言いますが『絶対に釣れる場所』があるんですよ」







Σ( ̄□ ̄;)

『絶対に釣れる、ですか?』

「はい。絶対に釣れます」

『シーバス?』

「だけじゃないです。アジも、イカも、メバルも釣れます」

『え?ええ?全部絶対釣れるんですか?』

「いや、さすがに(笑全部絶対ではありませんが、どれかは絶対釣れます」




おいおいおい、待て待て待て
そりゃ絶対行きたい!けど、完全無装備だぞ(・・;)



『ぬ、ぬぬぬ…行きたい!ですが!無装備では不可能ですよーーー!
。・゜・(ノД`)・゜・。』


「そうですか…んーーーーーー、凄い残念。じゃ、私だけ行きます(*´∀`)」


いや!ちょっと待て!クソ店長様!Σ( ̄□ ̄;)


『ちょ、ちょちょ、待て、待って下さい!一旦帰らせて下さい!タックル持って来ます!』

「申し訳ない(^^;;あと…そうですね…20分以内にココを出たいんですよ。でなきゃ潮が変わるのに間に合わないです、時合い終わる(^^;;」



20分…無理だ
帰宅してタックル準備して、またここまで来るのに1時間はかかる!


『えーーーーーー、もーーーーーー!竿は?リールは?指定あります?』

「とかく、潮が良ければ入って来るので……………」





(・・;)?






「本当に、明時さんだから教えますよ………そこのサビキセットの竿とリールで、あとはルアーがちゃんとしていれば釣れちゃうんですよ」


マヂか!?Σ( ̄□ ̄;)



どんだけ釣りバカなんだ?このクソ店長様!



『道具が無けりゃ買えば良い!入門サビキセット買うから連れてけ!( ;`ω;´)』

「よっしゃ!そう来なくちゃ釣り人じゃないですよ!Σd(-`ω´-〃)」

『竿とリールはコレで良いとして、ルアーどーしましょ!?』

「任せて下さいよ!」

店長様ーーーー!(((o(*゚▽゚*)o)))

「コレとコレとコレ…んーー最悪潮がああなると…コレいるな…あと、イカが入って来りゃエギはコレとコレでまず間違いない…」
店長様、ブツブツ独り言言いながら、かなり本気モードで選んでくれる(((o(*゚▽゚*)o)))

持つべき者は釣り友です!
。・゜・(ノД`)・゜・。


ギリ20分時間使って「今夜限りの絶対セット」出来!!!



店長様ーーーーー!!!(*´∀`)



「明時さんのいつもの買い物的には完全に予算オーバーで大変申し訳ありませんが、コレで絶対です!」



諭吉超え…(´・ω・`)



しかし、釣り人は何故に「絶対釣れる」という言葉にコレほど弱いのか…

『いえ!!他人の釣果の為に本気で選んでくださり本当にありがとうございます!。・゜・(ノД`)・゜・。』


店長様ーーーーー!!!
。・゜・(ノД`)・゜・。


『では!すぐに出発しましょう!!!(((o(*゚▽゚*)o)))』

「(笑そんなに慌てないで下さい(笑精算済ませないと店から出られんですよ(笑」



閉店作業を全て終えて…





出発やでーーーーー!!!(((o(*゚▽゚*)o)))





店長様の車でそのまま釣り場に直行!!!!





ドッサリとルアーの山を抱えて、ワクワクが止まりません



店長様のタックルを見せて頂くと、数個のルアーと一揃いの竿とリールだけ

(・・?


「では!向かいましょう!!!」

『はい!しかし…店長、ずいぶんタックル少ないですね(・・こんだけ私はルアーあるのに…』

「なはは、バレちゃいました(^^;;実はですね、売り上げギリギリだったので、明時さんが釣れりゃそれでOKだったんです(^^;;場所は本当に教えますから、怒らないで下さい(´・ω・`)本当にすみません」



Σ( ̄□ ̄;)はいぃぃっ!!!??


『え?って事は?え?何?店長本当は今日は、別な場所に行く予定だったって事ですか!?Σ( ̄□ ̄;)』

「そうです(^^;;だから、そこ用のタックルしかない(笑」

『いやいやいやいやいやいや!!!それは申し訳ない!んじゃ、そっち行きましょうよ!最初に決めてた場所で良いですよ!Σ( ̄□ ̄;)』

「いや、だから、明時さんが釣れりゃそれでOKだったんですって(・_・;」



店長様ーーーーー!!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
どんだけ良い奴何だこいつ!!!



『ありがとうございますぅーーーー!!!
。・゜・(ノД`)・゜・。じゃあ、お言葉に甘えて、秘密の場所教えてください!!』

「………………!なる程!!!本当に釣れない奴ですね、明時さんは!(笑では!行きますよーーー!!!」

『お願いしまーーーーす!!!店長様ーーーーー!!!(*´∀`)b』





車は進むよどこまでも

山越え谷越えどこまでも



とは言え、1時間程




場所はもちろん言えません


湘南から真鶴方面へ向かい、その途中の大きな町の港、と、だけ…



到着ぅーーーーーー!!!!

ひゅーーーーーーーー!!!!!
(((o(*゚▽゚*)o)))


『よっしゃああ!!始めましょう!!!』

「釣っちまって下さいよ!Σd(-`ω´-〃)」

『店長様ーーーーー!!!(*´∀`)』




しっかし、本当に人がいない
ガチの穴場

店長様とは少し離れた所で投げまくり!!



向こうの方で、何やら上がった様子…バシャバシャと魚の釣られる音がします
多分店長様だ…



そして私にも……




グィン!!!!



Σ( ̄□ ̄;)
本当に来た!!




おお、おおおいおいおいおい!!!

シーバスでも、アジでもイカでもメバルでもない、まさかのカマス!?Σ( ̄□ ̄;)
この時期にカマス!!??


しかも軽く30オーバー!

本当に凄えぇなおいΣ( ̄□ ̄;)


うひゃーー!(((o(*゚▽゚*)o)))と店長様の所に走って行き、自慢(笑

「あら!凄い!釣れない奴なのに釣りましたね!(笑」

『だから!やかましいわ!(笑本当にここ凄いですね!』

「だから言ったじゃないですか、絶対釣れるって(^^」

『もーーー!店長様ー!(*´∀`)』

「ほらほら!カマスバス持ちして!写メりますから!」

『ありがとうございます!(*´∀`)』



親指は血まみれになりましたが、ナイスショーーット!!(((o(*゚▽゚*)o)))

(画像には私とカマスが写っており、肖像権は私にありますが、著作権は店長にあるので画像UPが出来ません。店長の了解を得ようにも、ある理由で、今はそれが出来ません。ご理解下さい)

『店長もさっき、何か釣ってたじゃないですか?リリースですか?』

「はい、リリースしちゃいました(^^;;」

『あらま、でも、今多いですよね、リリース派』

「ちゃんとリリースしないと魚死んじゃうので、結構難しい話ですけどね」

『んじゃ!私と店長のツーショット撮りましょーーー!!!(*´∀`)』

「はいはい、はい、ピーーース(*´∀`)ノ」

(画像には私と店長が写っており、著作権は私にありますが、肖像権は店長にもあるので画像UPが出来ません。店長の了解を得ようにも、ある理由で、今はそれが出来ません。ご理解下さい)





その後、しばらく粘るも双方釣れず


「もう、完全に潮変わってますし、魚は沖です(^^;;もう帰りましょうか」

『あら、残念。店長様、明日仕事ですもんね(^^;;でも、ここまでして頂いて、本当にありがとうございました、本当にm(_ _)m』

「いや!いやいや!私の方こそありがとうございました!私はね、明時さんが釣れただけで、本当に十分だったんですよ(^^」

『。・゜・(ノД`)・゜・。何て良い人何ですか!あなたは!』

「明時さんが釣れて、私は十分。しかも私は魚も1匹上げたので、日本語的には十二分な結果ですよ(^^」

『日本語的には?ん?(・・?』

「もーーーー、本当に明時さん!そこが釣れない奴な訳ですよ!(笑」

『分からんですーーー(笑でもでも!私もちゃんと、釣りました!!Σd(-`ω´-〃)』

「ですね!Σd(-`ω´-〃)」





本当に、素晴らしい釣行の一晩となりました

後から考えれば、出来過ぎなくらいの結果


そう…今、考えれば、本当に、出来過ぎな釣行でありました…








それからしばらく、私は仕事が忙しく、釣りに行けない日々が続きました



久し振りに行った釣り具屋

店長様に、あの日のお礼を言わなければ!!!



元店員様「いらっしゃ…あら!明時さん!いらっしゃいませ!(^^」

『お久し振りです〜(^^店長いますか?』

元店員様「ふふっ、前店長は、年度末をもって、本店に栄転となりましたよ!Σd(-`ω´-〃)」

(・・?

元店員様「?あれ?前店長から話聞いてませんか?今は私が、ここの店長ですΣd(-`ω´-〃)」

Σ( ̄□ ̄;)

『凄いじゃん!!学歴皆無で、釣りが上手いってだけで入社した君が!(((o(*゚▽゚*)o)))』

店長「いやいやいや!明時さんのおかげですよ?前店長の後任で私が店長になれたのですから!」

(・・?

店長「この前の年度末、売り上げ達成出来たら、前店長は本店に栄転が決まってたんですよ!でも、閉店時間ギリギリで売り上げが1万ちょい足りなくて、本当店長落ち込んでて。で、で、ですよ!」






……



………………



………




あの晩の話…

話の点と点…




明時さんが釣れただけで良かった…

申し訳ない…

怒らないで下さい…



明時さんが釣れて私は十分。しかも私は魚も1匹上げたので、日本語的には十二分な結果ですよ…



私は、魚、も…



日本語的には、十分ではなく、十二分…


……


……


……………






『年度末、ギリギリ足りない売り上げ…私はそこに、やって来た…』

店長「ですっ!なぁんだ!知ってるじゃないですか!本当に、前店長は感謝してたみたいですよ!私も感謝以外出来ませんよ!」

『前店長はどこ行った?今、どこにいます?』

店長「ーーーの、本店です!」

『ありがとうございます!ーーーですね!行ってみます!(^^』

店長「ちょい待って下さい!明時さんが来たら、コレ、渡してくれと!」







私がバス持ちするカマスの写真






店長「やりましたねーー!Σd(-`ω´-〃)」

『釣れない奴が、釣りましたよ!(笑』

店長「もう、釣れない奴じゃないでしょう!前店長、言ってましたよ!釣った奴の写真だ、キレイに撮れてる、喜ぶだろうから、って!」




釣った奴の写真…ね…




『どうもありがとう!Σd(-`ω´-〃)』




店を出て、ニヤリ

やってくれたなぁ!店長!いや、前店長!(笑









翌日、釣りを早めに終えた私は、狙った獲物は絶対に釣り上げる釣り人に、少し挨拶する為に本店へ…






さすがは関東で、名を知らぬ釣り人はいない有名釣り具屋の本店。デカい






『「いらっしゃいませーー!!」』
数人の従業員の元気のある声。さすがは本店だ


広い店内を回遊しながら目指す獲物は、絶対に狙った獲物を釣り上げる、あの男







丁寧に、テキパキと入荷した商品を並べている、その男






「あのーーー、すみませーーん(^^」

『はい!はいはい!少々お待ち下さい!今、陳列していますので!』

この野郎、振り向いて客の顔も見やしねぇ

「もう一度、絶対釣れる釣り場を、教えてほしいんですよ(^^」

『少々お待ち下さ………はい?』




『Σ( ̄□ ̄;)みょ、明時さん!!!?』

「お久し振りです(*´∀`)ノ」

『どど、どうしたんですか!?え?何で!?』

「前の店の今の店長に、ここにいると聞きまして!(笑」

『き、聞いた…(^^;;ですか?聞きましたか(^^;;』

「はい!聞きましたよ!」

『いや、本当に、すみませんでした…』

「いやいやー!本当、ここに転勤になる事聞いてビックリですよ!教えておいて下さいよ!(笑」

『?何を聞いたのですか?』


引きつった笑顔


そりゃあそうだろう、私は全てを知っている

しかし、ここで終わりにゃしないぞ



「いや、またここに来れば、絶対釣れる釣り場を教えてくれるだろう、って!(*´∀`)」

『………なる程!はい、はいはい!教えますよ!
Σd(-`ω´-〃)今は磯が熱いですよーー!!そこの、磯釣り入門セットの竿とリールがあれば、絶対釣れる釣り場があるんですよーーーー(^^)』








引きつった笑顔が本物の笑顔に変わる

コレでトドメだ!クソ店長!







「竿とリールと、今度はルアーじゃなくて『あなたが選んだ仕掛けがあれば』ですね(^^」








『?…………ああ、なる程(^^;;』







本物の笑顔が変わり、またも引きつった

その馬鹿面が見たかったんだよ!

クソ店長!








「釣れない奴が釣れたんです、やはり、あなたの腕は素晴らしい!(笑」

『(笑』

「(笑」

『この、「釣った奴の写真」は私じゃなくて、あなたが持っているべきです(^^』






私は、一枚の写真が入った封筒を手渡し、店を出た












『絶対釣れる釣り場』ねぇ…


『釣れない奴』を釣る


さすがだわ


見事に、釣られた