【よみがえれ木戸川 ~100分の1の物語~】

 

 

木戸川。

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この川は、福島県にある楢葉町を流れる二級河川だ。

 

川幅も広くなく、至って普通にも見えるこの川は、震災前「サケの遡上数」が日本一となった事もある「サケ」の名所とも言える川だ。

 

釣り人の我々としても、サケの有効利用調査というサケ釣りができる川として有名であった。

 

その為、木戸川といえばサケというイメージがすぐ浮かぶ人は少なくない。

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しかし、2011年に起きた東日本大震災による津波で孵化施設が被災。

原発の放射性物質の汚染による風評。

その為、サケの稚魚を放流する事ができず遡上数が震災前に比べて激減した。

 

 

木戸川の鮭漁は再開の目途が立たず、木戸川はもうだめだ・・・多くの人がそう思っていた。

 

 

そんな最中、再開の目途の立たない鮭事業をあきらめない漁協員の努力の甲斐あって、ようやく昨年から稚魚放流事業も再開。

 

今年度は震災前と同じく1000万匹の放流を目指しているというのだから、その暗中模索の中、ただひたすら進み続けた木戸川漁協の力強さに感動を覚える。

 

そして今日、2016.10.15日に震災後二期目となる鮭漁の初漁がおこなわれると聞き、私もその様子を見学するべく足を運んだ。

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久々に来るな~・・・木戸川。

 

 

今年の初漁という事もあり、木戸川漁協には沢山の報道関係者が集まっています。

 

 

すると、漁協の方達に混じって見覚えのある顔が!

 

 

ナガレアイナメ】の回でお世話になった、アクアマリンふくしまの「吉田光輔さん」が漁のお手伝いをするために木戸川に来ていました!

 

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【組合長と話す吉田光輔さん(右)】

 

吉田さん?なぜ木戸川にいらっしゃるんです?と聞くと、彼が慕っている先輩が木戸川漁協にいるのだという!

 

 

その方は、木戸川の鮭ふ化場長の「鈴木謙太郎さん」だ。

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【メディアの対応をしている鈴木さん(左)】

 

鈴木さんは沢山の報道陣に囲まれて、あまり挨拶もできなかったが、まもなく鮭漁が始まった。

 

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迫力のある鮭漁に圧倒され、木戸川の川沿いに漁の様子を見に来た方達から歓声が上がっていました!

 

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水揚げされた鮭は、加工場ですぐに販売されていて、一般の方達がサケを買いに来ていました!

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しかし、まだ水揚げ量が少ない為、すぐに売り切れてしまう状況!

 

 

私も恐縮ならが、切り身とメスを一匹購入させてもらいました!

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水揚げされて新鮮かつ、とにかく安い!

 

 

スーパーで買ったら2000円くらいしそうな量の切り身が500円・・・

 

 

凄いです。

 

 

漁が一段落ついたようなので、隙をみて漁協の広報担当の鈴木さんに話を聞きに行きました!

 

 

私はこの日、彼の話を聞くまで、鮭の事を何も知らなかったんだと実感したと同時に、今日本当にここにきて良かったと思えたのだ。

 

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マチャ「鈴木さん、初漁おめでとうございます! 大漁のように思えましたが、あれでも例年に比べれば少ないってことですよね?」

 

鈴木さん「全然すくないよ(笑)」

 

マチャ「ちなみになんですが、年間の遡上数って震災前はどのくらいだったんですか?」

 

鈴木さん「7万から10万匹が平均で、豊漁の時は16とかいく年もあるよ!」

 

マチャ「7~10万匹!? すごい数だ・・・」

 

私が驚いていると、鈴木さんが孵化施設を少し見せてくれた。

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これが孵化施設ですか・・・

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鈴木さん「鮭一匹から取れる卵が約3000個。

採卵し、受精させ、検卵し、孵化させ1000万匹の放流・・・

 

「この施設全部で1000万匹の孵化が行われる・・・

ちなみに、この一枠(1箱)に入る卵が・・・10万・・・

それが100枠。それで1000万・・・

つまり、この施設全部の箱に埋まった卵が孵化して放流しても、4~5年後

帰ってくるのはこの1枠分・・・つまり1%なんだ。」

 

マチャ「い、1%・・・」

 

鈴木さん「10万匹と聞けば多く感じるけど、全体の1%しか帰ってこれない。それが鮭なんだ。だから、秋サケが食卓にならんだら、その尊さを感じ大事に食べて

もらいたいというのが、俺の願いだよね。」

 

 

4年の壮大な旅を経て、帰ってこれるのが1%。

 

私はこの100分の1の物語を考えた時に、物凄くサケが尊い存在であると感じさせられた。

 

そんなサケ達の事を想い、木戸川漁協では鮭の為の慰霊碑が存在する。

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鮭の放流事業は、帰ってこれる鮭100分の1・・・「尊い命の物語」を繋ぐ物語なんだ。

 

 

私は今日、木戸川に来てよかった・・・

 

 

心に沁みる言葉を胸に刻み、帰り道に若き彼らの姿を思い返していた。

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彼らの命を繋ぐ懸命な作業は今日もまた行われている。

 

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その日、帰ってから鈴木さんに、仕事の邪魔をしてしまった上に、貴重な話をしてくれたお礼のメールを鈴木さんに送ると、彼からの返信にとても驚いた。

 

「こちらこそありがとう! 楢葉町の木戸川に来てくれただけで嬉しく思う! また遊びに来てね!」

 

文は多少省略したが、その様な内容の返信であった。

 

私は彼等の何分の1の苦労も理解できていないし、何も協力できないのに「来てくれて嬉しい」と優しい言葉を掛けてくれる彼の人間性にとても感動したと同時に、また必ず木戸川に足を運ぼうと心に決めた。。

 

そして私はその日、何度も何度も木戸川での出来事を思い返し、心の中で何度も何度もつぶやいた。

 

「よみがえれ!木戸川」

 

 

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