【消える魚】

 

チャリリリリリリリ!!!

 

おし!来た~!!!

 

 

デカいよ!

 

 

ヒラメかな・・・

 

 

もう少し・・・

 

 

もう少し・・・

 

 

 

スッ・・・

 

 

 

あ!!!!

 

 

・・・

 

 

またか・・・

 

 

 

 

これで何度目だ・・・

 

 

いったい何が起きているんだ。

 

 

何が掛かっていたというのだ・・・

 

 

なぜ消えるんだ・・・

 

 

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2016.07.04

 

暑い夏だった。

 

 

私は福島県いわき市を流れる藤原川の河口に来ていた。

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はじめは、気軽に投げ釣りをしようと思っただけだった。

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イシモチでも釣れれば良いな~と思って、五本バリにアオイソメを付けて投げるも、釣れるのはフグばかり。

 

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さすがに嫌気がさして、イワシやキビナゴをエサに切り替えて仕掛けを投入した事から始まった。

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・・・

 

 

 

チャリ・・・

 

 

チャリ・・・

 

 

チャリイリリリリリイリリイリリリ!!!!!!

 

 

 

勢いよく竿が撓る!

 

 

一呼吸おいてグーンと合わせた竿にはしっかりと重みがあり、ガクンガクンという抵抗を感じた!

 

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やけに重く、ヒラメやエイなどの平たい魚だと思った。

 

 

 

しかし、もうすぐその魚が海面に姿を見せる頃・・・

 

 

スッ・・・

 

 

 

あ!バレタ!!!

 

 

 

くそぉ~!!!もう少しだったのに!!!

 

 

 

しかし、上がってきたエサを見て違和感を感じた。

 

 

 

エサが・・・残っている???

 

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針は魚の口に刺してあるだけで、孫針などは付けていなかった。

 

 

スレ掛かりだったのだろうか・・・

 

 

 

しかし、その後も同じようなアタリがあり、フッキングも上手くいったように思えたが、また海面付近でフッと消えた様にハリから外れてしまう。

 

 

いったい何が掛かっていたというのだ・・・

 

 

 

この不思議な現象は何度も何度も繰り返された。

 

 

時には、6号ハリスも切られている事もある。

 

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2016.08.01

私は仲間のにも協力を仰ぎ、再び藤原川に向かうも、やはり同じ現象は繰り返された。

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しかし、必ず海面で姿を消すため正体を突き止められずにいた。

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今日もダメだった・・・

 

茹だるような暑さの中、防波堤に居続けるとうのは非常に体力がいる。

 

 

消える魚がかかるのは夜が多いのだが、夕方から場所を取らないと釣りにならない。

 

いい加減に体力も気力も使いすぎて疲労を隠せずにいた。

 

 

そんな私の様子を見てか、一通のメールが届く。

 

 

「藤原川で苦戦しているようだね? ハリを小さくして、孫バリかチラシバリを付けてみたらどうだろう」

 

 

それは私の活動のアドバイザーである「ミスター」からであった。

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【ミスター】

 

 

ミスター「あ~後ね・・・フッキングしないで♪」

 

!?

 

フッキングするなってったって・・・魚はフッキングしないと針が口に掛からないですよ!?

 

・・・しかし、ミスターが意味もなくそんな事を言うはずがない・・・

 

彼はきっと私の話から、正体がおおよそ理解できているのか、私を諭すかのようなメールであった。

 

 

私は一晩考え、2016.08.04再び釣り場に向かった・・・

 

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釣れても釣れなくても、今日が最後の挑戦だ。

 

 

これ以上追いかけると、今年の釣行がこれ以上進まない・・・

 

 

今日が勝っても負けても・・・決着だ。

 

 

 

エサはイワシ、キビナゴ。

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市販の針を組み合わせて、孫針を付けることにした。

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針は小さいキス針・・・

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画像の物はハリスが1号だが、1.5号に後に切り替えた。

 

 

そして、意を決して仕掛けを投入。

 

 

 

竿先をただひたすら見つめる。

 

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その時が来るのを待ち続ける。

 

 

針を小さくすると、どうしてもこいつが良く釣れてくる。

 

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エサとりとの勝負が続く。

 

 

しかし、ただひたすら打ち込む・・・

 

 

エサ釣りがこんなに難しいと感じた事はなかった・・・

 

 

釣り分けるという事のむずかしさを実感させられた。

 

 

毎日熱せられたコンクリートの半遮熱を浴び続け、私は半ば熱中症になりながら毎日毎日竿先を見続けた・・・

 

 

今日もダメなのか・・・ぐったりと項垂れた時だった・・・

 

 

チャリリリリ!

 

 

来たか!?

 

 

あいつなのか!?

 

 

 

今回は、あまりラインを送らない事にした。

 

 

何度も同じことをして負けたのだから、今回はあまり送らない・・・

 

 

そして、意を決してロッドを持つ・・・

 

 

フッキングはせず、煽る・・・・

 

 

頼むぞ・・・・頼む・・・

 

 

行くぞ・・・・

 

 

いけぇぇええええええええ!!!!!!!!!!!!

 

 

 

グーーーーーーン・・・グングン

 

 

あいつだ!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

来たっ!!!!

 

 

 

切れるな・・・外れるな・・・切れるな・・・外れるな・・・

 

 

外れるな外れるな外れるな外れるな外れるな!!!!!!!!!!!!!

 

 

頼むから~!!!!!!!!!!!!

 

 

・・・

 

・・・

 

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ブワンブワンブワンと海底から引きずり出したそいつがついに見えた・・・

 

 

 

急いでタモを伸ばして・・・・

 

 

ついに・・・

 

 

 

ついに・・・

 

 

 

ついに・・・

 

 

釣ったぞ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

何度も何度も何度も何度も・・・・ハリから外れて、ハリスを切って・・・

 

 

 

お前だったのか・・・

 

 

全て納得がいった・・・

 

 

 

私が約一か月間戦い続けた「消える魚」の正体・・・

 

 

 

それは・・・

 

 

 

大型のワタリガニ!!!

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甲羅のサイズが25㎝と大型のメスであった。

 

 

コイツが消える魚の正体だったんだ・・・

 

 

 

通りで空気に触れると消えるわけだ・・・

 

 

この口でハリスを切っていたのか・・・

 

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ようやく釣り上げた喜びで、力なくへたり込む・・・

 

 

 

そんなタイミングでミスターが様子を見に来てくれた。

 

 

 

マチャ「ミスター・・・つ、釣れました~!」

 

ミスター「おぉ!?正体は?」

 

マチャ「これです!」

 

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ミスター「やっぱり・・・まさかとは思ったけど・・・」

 

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ミスターは、この「消える魚」の正体は、カニかイカではないかと考えていたが、イカならエサにかじりついた後が付くはずだが、俺の外れた魚の様子からイカではないと判断したらしい。

 

そして、魚のように泳ぎまわり重くて、外れるとなると・・・

 

もしやと思ったという。

 

 

しかし、ワタリガニは汽水には入り込まないカニの様で、大型の強い個体が汽水ギリギリのところまで紛れ込んで来たのではないかと言っていた。

 

最近アタリがめっきり少なくなったのは、産卵期が終わりを迎える為、抱卵個体が卵を放したら、また沖に行く為に徐々に防波堤から届く場所にいなくなってきているのだろうという事だった。

 

 

それにしても、この「消える魚」との決着・・・このワタリガニを食べようと思ったのだが、私にはそれが出来なかった。

 

何故ならこのワタリガニは抱卵していたのだ。

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次の世代に命を繋ぐ為に必死に生きている・・・

 

 

そして、また生まれた子供たちは、大きく成長した時、「消える魚」としてまた釣り人を悩ませ、釣り人のロマンを掻き立てるのであろう・・・

 

 

元気に帰りゆく「消える魚」を見送り、一つ深呼吸をした。

 

初めて藤原川で消える魚に遭遇してから一か月程続いた戦いがようやく終わり、吹き付ける風が心なしか涼しく、もうすぐ訪れる秋を感じさせる、そんな季節の怪現象であった。

 

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