うわぁぁあぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!









「真っ暗」な海に向けて「叫ぶ」ベン.データ

やはりその声は「鳴き声」ではなく「叫び声」に過ぎない

あの方は…あの方は…やはり「特別」なんだ…


アレだけの才能…アレだけの閃き…アレだけの…


くっ……………………







異質









何で

何で

何で









何で何で何で何で何で何で何で何で













鼻を隅に押し付けるの!?

何で部屋の隅に行くの!?

何で机の隅に鼻を擦り付けるの!?




意味が!分からない!!!




研究者とは、実に悲しき生き物
気になる事象が現れると、それを追求せずにはいられない



鼻!赤くなってるじゃん!
アレ、絶対痛いじゃん!
ってか「研究室の隅という隅がへこんでいる」って、少なくとも、僕の学んで来た物理学では「有り得ない」じゃん!!!






物理学には「硬度」というモノが在る
調べ方はとても簡単
この石をつかって、あの石にキズを付ける事が出来れば、この石はあの石より「硬い」って事になります


「硬度」は1から10まで在り、硬度1の代表は「滑石」
そして、最高硬度を誇る石、硬度10の代表は、そう「ダイヤモンド」です









うわぁぁあぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!



何で!何で「鼻」が、コンクリートで出来た部屋の隅をへこませる事が出来るんだーーーー!!!



うわぁぁあぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!




ひとしきり「叫ぶ」ベン.データ




はぁっ!はぁ!はぁはぁはぁ…



なぁにが「おじさん」だ…クソが…
何なんだ…何なんだよ…
「おじさん」?違うね、アレはただの「鼻」だ!


ただの「鼻」のくせに…クソ…
何で…あそこまで天才なんだ…








物理学には「硬度」というモノが在る
調べ方はとても簡単
この石をつかって、あの石にキズを付ける事が出来れば、この石はあの石より「硬い」って事になります…が、例えば、長年雨水に晒された石は、雨水によって穴が空く
良く切れる包丁も、沢山の食材を切ると切れなくなります
そこで、試してみて下さい
あなたの「鼻」で10年くらい、部屋の壁を擦り続けてみて下さい
壁には「鼻の擦り跡」が出来る事でしょう



なぜ、Pはあれ程までに天才なのか?
そんな理由、ベン.データはとっくに分かっている



血の滲む様な…いや…壁に「鼻が滲む様な」努力を、しているからだと…









だ!か!らぁ!なに!?



「鼻が滲む様な努力」って何よ!!!!
なんで鼻が滲むんだよ!!!オカシイだろ!!!!



うわぁぁあぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!








「って言うか…「命波」…生物以外…「物質」からも出てるって言い辛えぇえぇえーーー!!!」



もちろんそんな話をした所で「証明」をしない限り、なんの役にも立たないし、意味も無いのだけれど








うわぁぁあぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!





人知れず、ベン.データの苦悩は続く…



























「おはようございます、先生…」

部屋の隅でもぞもぞしているPに挨拶をするベン.データ

「……おはようございます、先生ーー…」

んー?とか、あれぇー?とか、小鳴きをしながらもぞもぞするP




「先生えぇえぇえーーーい!!!おはよう!ございます!!!」

『うわ!ビックリした!!!!』




うるせぇ!鼻!





『うわぁ、ごめんごめん、ごめん、気付かなかった』

「いえ、僕の声が小さかったですね(^^」

『物騒な世の中だねぇ…本当に…』

「?」

窓の外を指差すP

『昨夜ねぇ、海岸で叫んでる不審者がいるっていう通報があったそうだよぉ』

「ほぅ…それは怖いですね…」

『ねぇ、怖い怖い…』



Pの事を散々言ってはいるが、ベン.データも相当なモノ



『さぁ、ベン君、昨日の話の続きから始めよう…』

















2人は、まだこの世界の誰も理解出来ない事象や数式、太古の昔から世界に散りばめられている、神へのヒント「命の存在証明」へ挑む


あまりにも謎過ぎる、電波に乗る音「命波」


そもそも「命波」とは、どこから来て、どこへ行くのか?


まだまだこれから、2人はその問題に挑み続ける事になるし、結果、2人がその「答え」に、ついに到達する事になるのかどうかは、物語を書く者にも、まだ分からない


しかし「この物語」の世界では、2人はいくつかの問題を解決し、大いなる世界へと進む事には成功する



最も難しい問題の答えは、いつも足元に広がっている



2人が「命波」の研究に本格的に取り掛かり始めて半年が経った頃


一向に先の見えない謎の存在


ベン.データは「視えるが故に」その証明がどれ程難しいのかを思い知りながらも何も出来ない自分の無能を呪う
研究室から出て、いつだったろうか「真っ暗」な海へ向かって叫んだ日を思い出しながら、海岸をとぼとぼと歩く



ああ、そー言えば…かなり前だけど、この辺りで「叫び声を上げる不審者」の通報があったよなぁ…怖いなぁ…
でもあれ以来、そんな話聞かないし大丈夫だよね…





その不審者はお前の事なんだけど、そんな事は考えもしない





あーーーーー、本当に分からない…何なんだろう…「命波」…
いつから「在った」のだろうか…
少なくとも「音」と「電波」の螺旋なのだから、この宇宙に「秩序」が産まれてから後だ…

海岸の砂浜に寝転がって、空を、宇宙を見上げながら想いを巡らせるのは、青春の特権ではない

その仕組みを少しだけ理解する事の出来る、天才科学者達の特権でもあるのだ

そして、青春真っ只中の人間が視える世界と、天才科学者達が視える世界は、全く違う様でありながら、共通する部分が沢山ある





その最たる世界は「空想」の世界

「青春」と「科学」は、少しだけ似ている

どちらも「挑戦」しなければ「何も成し得ない」






宇宙は産まれた時、1ミリの1兆分の1よりも小さかった…そして、その「小さな宇宙」は、誕生から1秒の1兆分の1の、1兆分の1の、さらに1兆分の1という時間で、1兆の1兆倍の、1兆倍の、さらに1000万倍という大きさまで膨張した…いわゆる「ビックバン」…
その頃から「命波」は在ったのだろうか…



海岸をピチャピチャと歩くベン.データ



命波を視る事の出来る彼の眼には、いつも海の波が光って視える
例えるならば、夜光虫の輝く夜の海

波間に浮かべば消える「命」の「命波」の光り輝く海の世界

何と美しい世界なのだろう…



一歩

一歩

一歩



ピチャピチャ、ピチャピチャ、ピチャピチャ…


その度に「命波」で輝く足元


「母なる海」


その足元の海水の「たった一滴」には、おおよそ、一万個体の生物が存在する
「たった一滴」の海水に、一万個体の「命」











美しい…「命波」の数式を知ったあの日から「世界」は輝いている










「真っ暗」な海の波間に、浮かべば消える「命」の「命波」










え?












「真っ暗」な海の波間に、浮かべば消える「命」の「命波」?













え?















「たった一滴の海水」に、一万個体の「命」が存在するんだぞ?






ならばなぜ…





なぜ、母なる「海」が輝いて視えない?













パチャパチャと足で波を踏むと、ピカピカと光る足元


相変わらず、波間は命波で輝いている

しかし「海」は光ってはいない


なぜ「波」は光るのに「海」は光らない?






















ベン.データは今一度「世界」を「視る」



















なんで…


























海は「暗い」のだ?